旧リマスター紙ジャケットSHM-CD仕様限定版 国内盤未開封新品でございます。
旧リマスターではございますが、Jimmy Page本人と名マスタリング・エンジニア故George Marinoによるもの。
古いものではございますが、非常に良心的な音質となっております。
但し、音の定位置が.........と作品によって指摘されるリマスター・シリーズではございます。
そもそもLed Zeppelin全盛期時代から音の定位置に関してはあれこれと指摘されてはおりますが...............................
内容は言わずもがな。
ラインナップは不動の名手四名。
Jimmy Page(G、Gizmo(10CCで御馴染み))、John Paul Jones
(B、Key)、Robert Plant(Vo)、故John Bonham(Ds、Per)となります。
プロデュースはJimmy Page自身。エンジニアはLeif Mases(後にBlack Sabbath、Ian Gillan等手掛ける)となります。
1978年11~12月スウェーデン・ストックホルム”Polar Studios”(かの”ABBA”所有の録音スタジオ)での制作となります。
Robert Plantの怪我が治癒、ようやく全米ツアーに乗り出した
Led Zeppelin。
されど再びRobert Plantが喉頭炎にかかり延期、1977年4月1日にようやく開始となります。
バンドは久々のツアーでかなりの緊張を感じている上に会場やツアーの大規模化で小回りが利かない事で不自由さを感じており、
またそこからリハーサル時間が犠牲となり、思う様な演奏修正等が出来ない事で忸怩たる思いを感じる事となります。
その反面ツアーは
非常に大規模で会場も大規模な上に
チケットセールスも非常に好調。商業的な成功を収めていく事となります..........
されど、
余りの聴衆の熱狂振りから暴動となるなどトラブルに見舞われ、
また肝心のJimmy Pageが「ミュージシャン特有の私生活問題」を強く引き摺っており、
その健康問題が演奏に支障を齎す事となり、
バンド内に重い空気が流れる事となります。
更には終盤ではLed Zeppelin側警備者に関わる問題でプロモーター側と傷害事件で揉め、
マネージャーの故Peter Grant、故John Bonham等が逮捕される等々、ツアーの内側は散々なものに。
そこにRobert Plant愛息Karac死去の一報がバンドに齎される事となります...................
悲しみに暮れるRobert Plantとバンドは残りの公演を中止を決め、英国へ帰国する事となります。
またツアー中から
バンドと故Peter Grantの間で活動の取り決めが話し合われ、Robert Plantが私生活重視を主張。
その上Robert Plant愛息Karacの死去。
活動のインターヴァルを大きく設ける事となります..............................................
その後更には税金問題で英国国内での居住や活動が厳しくなり、バンドは海外での生活を余儀なくされる事に。
かのサントラ用ライヴ盤”The Song Remains the Same”が妥協の産物であった事で、
活動のインターヴァルで本格的なライヴ盤制作をJimmy Pageが懇願。
されど、そのサントラ盤リリースからの時期が近い事やRobert Plantが難色を示した事から企画は頓挫。
活動がままならない事も加わり、Jimmy Pageの「ミュージシャン特有の私生活問題」に絡む健康問題が悪化していく事となります...........
その中で
1978年9月、
新作制作に向け創作を開始する事となります.................
さて今作。
今作はRobert Plant/John Paul Jones主導による創作・制作ではございます。
John Paul Jones曰く「Jimmy Pageは(「ミュージシャン特有の私生活問題」絡みの)別の事に専念していた」との事。
創作にはあまり絡んではいない模様ではございますが、
Jimmy Pageとしては前作「Presence」でやり尽くした感がございます。
また(当時のぼやけた頭脳(笑
)ではございますが)Jimmy Pageは
Plant/Jones主導での音楽性の可能性やそこからバンドの八十年代に向けてのバンド音楽性の突破口をプロデューサーとして探っていた感が有り、
意図的に関わらなかった感がございます。
(色々といじけていた感もございますが........)
制作に乗り出した1978年はPunk/New Wave台頭という時期を越え、NWOBHMの息吹が聞こえる時期。
米国では”A.O.R.”ブームと言う洗練された音楽性が持て囃された時期でもございます。
当時John Paul Jonesが入手したヤマハ・ディジタル・シンセ”GX-1”を秘密兵器を如何に生かすかをも含め、創作を進行していった感がございます。
されどJimmy Pageという創作の重しがない事でRobert Plantが非常な趣味性(今作A面の米国南部系
基礎
R&R楽曲、ピアノ使用)を
強く主張した感が有り、その対比が興味深いものでございます。
バンドの音楽性の鍵を握りアレンジの要
たるJohn Paul Jonesの貢献が大の今作。
前作から楽曲の枠に拘った感がございますが、
前作にあった演奏による凡庸な楽曲の長尺化を避け焦点を絞り練り上げ、洗練度重視で
構築性重視。
その中で各自の音楽性や演奏個性を生かす事に重点を置いた感がございます。
またRobert Plantの趣味性と八十年代への試行という矛盾した無理な音楽性をLed Zeppelinの音楽性として成り立たせるのに
非常に腐心した感がございます...............
前作同様非常にライヴ感と音の隙間を強く生かしたものではございますが、オーヴァーダビングを極力控えるという感。
かの”Headley Grange”の吹き抜けでしか成し得なかった故John Bonhamの演奏の迫力や躍動感を録音可能にしている
音響に拘った正式な録音スタジオでの制作という事があり、音響や音造りも現代感があるもの。
(これが理由でスタジオ・スケジュールを押さえた模様)
八十年代というディジタルな時代を意識した感がございます。
故John Bonhamも現代感を意識した感。
躍動感・迫力と細やかを伴う独特の演奏ではあるものの八十年代に繋がる整った演奏を心掛けており、八十年代を意識したものとなっております。
(愛息名手Jason Bonhamに繋がると申しますか...................)
Jimmy Pageは正直センスは良いものの演奏の雑さが非常に目立つもの。
ここにLed Zeppelin末期の間の悪さが窺えるものでもございます.........
Robert Plantは今作で後のソロ時代に繋がるヴォーカル・スタイルを確立した感があり、無理なく表現力重視へと移行した感がございます。
John Paul Jonesは今作ではキーボード重視。
強烈な音楽個性の三名にキーボードという事でベーシストの面はより控えめでバランスを取り、他の個性を繋いでいった感がございます。
そもそもベーシスト兼キーボード奏者、
リズム面と装飾面の二面性を持つミュージシャン兼アレンジャーという名手John Paul Jones。
Led Zeppelin音楽性の鍵は名手John Paul Jonesによるものではなかろうか?という感がございます.........
また後に”Coda”B面に収められる”Wearing and Tearing”等々が録音未発表楽曲として存在。
”Wearing and Tearing”が重要。
創作には関わらなかったというJimmy Pageではございますが、ここでは打って変わって非常に関与している感がございます。
キーボードがなくギター重視。非常に躍動感と迫力のある楽曲、演奏・アンサンブルで「Led Zeppelin、ここにあり!」という感があるもの。
Punk/New Waveそして当時勃興しつつあったNWOBHMという音楽性が持つ焦燥感・疾走感を体現しようとしたという感が窺えるものでございます。
Jimmy Page/Robert Plantはパンクバンドと張り合う事となる事を避ける為に未収録となったとの話がございますが、
こ
の楽曲が今作A面冒頭に収められていれば今作の
印象
が大きく変わったという感がございます..........................
(加えて”South Bound Saurez”を外し”In the Evening”をA面最後として.............)
制作後は再び沈黙。
翌年1979年8月に英国”Knebworth”にてフェスが企画され約二年ぶりにライヴが企画されます。
そのSingle”Wearing and Tearing”単独リリースを皮切りに今作リリースを企画、となりますが、結局後々にリリース。
(Single”Wearing and Tearing”単独リリースは結局企画倒れ)
Led Zeppelin後期の活動タイミングの悪さと停滞を物語る感がございます.................................何かねぇ.......................................
正直、今作に”Wearing and Tearing”が収録されるか?否か?で、その後のLed Zeppelinが大きく変化した感がございます..............
リリース当時はかの”Hipgnosis”にジャケットデザイン制作依頼で六種類という今作
(今紙ジャケットはメインデザインの一種のみ)
。
開封しなければデザインが判らないという、非常に面倒なものであった模様でございます...........................これでリリースが遅れたとも.............
何かねぇ...................末期Led Zeppelinの間の悪さを象徴する感がございます.........................................
後に英国HRバンド”Thunder”がライヴで
楽曲の合間にサンバを演奏しておりましたが、”Fool in the Rain”を参考にした感がございます........
この機会に是非。