絶版希少本 型ガラス・ウランガラス・レース皿特集 骨董ファン14
西洋堂
2000年
95ページ
約30x21x0.6cm
※絶版
本書は、前半は型ガラス/プレスガラス特集、後半はウランガラスの二部構成。特集記事は前半50ページ。
特集記事の写真はフルカラー。
前半は型ガラスの製法、プレスガラスのコマ、ままごと道具、醤油注ぎ、氷コップ、コンポート、皿、
和ガラスでできた日本のグラス、(幕末、明?治初期、大正、昭和?初期)など和ガラス製の生活雑貨、ヨーロッパのグラス、イギリスの型ガラスの写真を多数掲載。。
レース皿を中心とした和ガラス(明?治時代?、大正時代?、昭和?)の項目ではレース皿43点、戦勝記念とノベルティの珍しいデザインレース皿11種を紹介。
全国蚤の市プライスかわら版の項目では、コップ、氷コップ、ボンボン入れ、皿、コンポート、瓶などの写真と主要蚤の市販売価格を掲載。
後半は、ウランガラスコレクターとしても著名なTHE ALFEE/アルフィー坂崎幸之助さんのウランコレクションの写真を多数公開するとともに、インタビュー形式の記事。
アンティークの素材と歴史の項目では緑の幻惑・ウランガラスと題して、名著『ウランガラス』の著者であり、ウランガラスコレクター、電力中央研究所名誉研究顧問 苫米地顯氏の監修による
人気のウランガラスの特徴、はじまり、その幻惑的な蛍光色のメカニズム、ボヘミアのウランガラス製造技術、日本のウランガラスなど、わかりやすく興味深い記事満載。
電力中央研究所名誉研究顧問 苫米地顯氏のインタビュー記事など、コレクター、愛好家必携、情報満載の大変貴重な資料本です。
【目次より】
●特集 涼と量の型ガラス
型ガラスの製法
駄菓子屋グッズ 子供の遊び
生活雑貨 日本のグラス ヨーロッパのグラス
イギリスの型ガラス フランスの型ガラス ベルギーの型ガラス
作家たちの型ガラス ルネ・ラリック アージー・ルソー バカラ サビノ 型ガラスの化粧瓶
How To Collectファイヤー・キング
How To Collectレース皿 花シリーズ・戦勝記念とノベルティ
●第2特集 緑の幻惑・ウランガラス
坂崎幸之助さんのウランコレクション
インタビュー 電力中央研究所名誉研究顧問 苫米地顯さんに聞く
pick up 夏休み
全国蚤の市プライスかわら版
トイワールド型ガラスになったベア
はぎれのたわごと あの夏から
万年アルバイター出稼ぎの巻き!!
オルゴールのいろいろ
掘り出しモノ日記
WANTED どろぼうはチョコがお好き?
日本全国蚤の市カレンダー
広告索引
「骨董ファン」収り扱い店一覧
【レース皿】より一部紹介
レ一ス皿を1枚1枚並べて光にかざし、眺めていると、それぞれに描かれた模様の持つ魅力が浮き立ってくる。こんなに美しいレース皿だが、「貧乏人のガラス皿」なんて言われていた頃がある。 1800年代?中頃、アメリカで大量生産された頃だ。それまではハンドカットのガラス皿しかなく、お金持ちしか持てなかったのに、どんどん一般の人々がこのレース皿を使い始めたから、お金持ちの人々はやっかみ半分、悔し紛れでそんなことを言ったのだろう。
レース皿は典型的なプレスガラス技法。薄く、平らな皿だから、ガラス種の量が多すぎても少なすぎてもうまく作れない。かなり苦労した結果、模様に水玉の突起をいくつも入れると、皿の調節を少々間違えてもごまか
せることに気がついた。ガラス種は粘着力があり、表面張力が強いから、プレスした時、水玉の部分にガラス種が足りなくてもうまく突起ができあがる、この水玉のボチポチがいくつもついた皿がレースに似ていたから
「レース皿」と呼ばれるようになった。魚子文、千筋文などの加飾も、同じ理由から描かれている。つまり、もようの多い皿のほうがプレーンな皿より作りやすいということだ。
レース皿とレースガラスは間違えやすいが、レースガラスは色ガラスの種を何本も束ねて棒状にし、ねじ曲げて作るベネチア独特のガラスである。
レース皿は、アメリカでプレスガラスの技術改革とともに生まれた。この技法は、すぐにイギリスに伝わり、改良されて、さまざまな凝ったもようが作れる機械を生み出した。「八つ割り」とか「四つ割り」とよく言わ
れるのは、ケーキを切る要領で丸い皿を分解して作り、それをくっつけて1枚の皿にしてあるからである。
これらの技術が日本に伝わった時、イギリスで使われていたプレス機械も一緒に日本にやってきた。日本製のレース皿の中には、イギリス製の機械で作り出されたものも多い。だから、イギリス製の皿模様とびっくりす
るほど似ている皿を日本製で見つけることがある。ただし、ガラス精製の技術が違っていたため、イギリス製のものは透明?なのに対し、日本製は少々白濁していて、気泡が入っていたりする。
その未完成な美が魅力となり、レース皿は今、静かなブームとなっている。
魚子文 魚の卵状の小さな粒を一面に並んだように突起させたもの。
千筋文 細い縞模様。
【花シリーズ より】花ガラス
明?治になって、東京品川にイギリスから2台のガラスプレス機がやってきた。その頃、品川にできたガラスエ場は西洋で生まれる美しい型ガラスを日本でも作ろうと懸命に模索していた。2台の機械でプレスされたガラスもようはヨーロッパそのものだったが、やがて日本で編み出されたのは、日本的で優しいしっとりとしたもよう。中でも明?治から大正にかけての花シリーズは、あやめ、ゆり、あざみ、バラ、菊。美しい花の咲いたプレスガラスは、日本人の心にびったりマッチして流行したのである。
魚子にバラのもよう
千筋にぼたんのもよう
ぼたんに蝶のもよう
野花のもよう
干筋にゆりのもよう
(すべて明?治~大正)
【レース皿写真図版一部紹介】
八つ創り市松もよう皿 明?治28年 直径18cm
ねじり菊のつなぎもよう 明?治~大正
ハートもよう平皿 明?治~大正
角皿 蜘蛛の巣もよう 明?治~大正
雷もよう穴あき皿 大正~昭和?
波に葉のもよう 明?治~大正
亀型角皿 明?治~大正
蝶のもよう 吹き型 明?治
菊に蝶、ハートのもよう 明?治~大正
幾何学もよう 明?治~大正
鳥に松と松ぼっくりのもよう 明?治~大正
麻葉のもよう 大正
かえでのもよう 型吹き 明?治
竹に福良雀のもよう 明?治~大正
格子にしゅろのもよう 明?治~大正
あざみのもよう 明?治~大正
福禄寿もようの祝い皿 大正
アーチに輪つなぎのもよう 明?治~大正
鹿にかえでのもよう 大正
ダイヤのもよう 舶載品(輸入品) 明?治
格言皿 TIME IS MONEYと書かれている 明?治~大正
ほか43点
【レース皿・戦勝記念とノベルティ 一部紹介】
日本海上運送火災保険株式会社のノベルティー皿 明?治
八角皿 柏と国旗の日英同盟のもよう 明?治~大正
大日本帝国陸軍戦勝記念の皿 明?治
大日本帝国陸軍戦勝記念の皿 色遣い 明?治
桜に朝日、錨もよう 明?治
東郷元?帥の格言皿 明?治
東郷元?帥の格言皿 色違い 明?治
「大日本海軍万才」と書かれた水兵さんの皿 明?治
格言皿 A GOOD NAME IS BETTER THAN RICHES 意匠登録明?治38年
格言皿 色通い
ガーター勲章のもよう 明?治~大正
※ガーター勲章 イギリスの最高勲章。1348年、エドワード3世が創設した。靴下止めに似て、左膝下に着ける。
【THE ALFFEE 坂崎幸之助さんのウランコレクション】 より一部紹介
笑える額でコレクション
ウランガラスってきれいですよね。幻想的で。
僕は最初、プレスガラスを集めていたんです。普通の皿、いわゆるレース皿とかのプレスガラス類です。和ガラスが中心ですね。で、色つきの氷コップとか江戸?ガラスなんかは、ある程度相場が決まってるでしょう。コレクションつていうからには、ガンガン買いたい訳ですよ。自分のお小遣いの中で、しかも、笑える額で買えないと。ガラスが1個何十万円もしたりすると、笑えない金額じゃないですか、そうすると、コレクションつていっても、いわゆるお金持ちの威嚇みたいになって、いやらしくなっちゃうと思うんですよ それだとツマンナイ、できれば何百円で買いたい。失敗することも含めてね それがコレクションの醍醐味だと思うんです。僕は何十万で1個口うより、安くておもしろいものを量で集めたいほうだから。そういう意味でも相場がさほど決まっていないものに興味がある。プレスガラスだと、もちろん高いのもあるけど、そんなにはね。
前は、よく伊万里とかが、ど一んと置いてある蔵の隅っこにガラスがほこりをかぶって、「蔵出しやさんが持ってきたから、あげるよ」って業者の人にもらったり、山にして安く売ってたりとか、そんな感じだったんですよ。しかも種類が多くて、楽しいものが多い。柄も時代?時代?のものがあってね、戦争柄とか君が代?の模様とか。それに同じ柄でも色違いであったりするじゃない。だから、集めていておもしろいなって、そういう感じだったんですよ、最初は。
ウランガラスに出会った最初のきっかけは、僕の知り合いのカメラマンでYさんつていう人のお宅に行った時、「坂崎君、ガラス集めているんだって?」つて見せてくれたのが西洋のウランガラスコレクションだったんですよ。(後略)
アンティークの素材と歴史 緑の幻惑・ウランガラス
◆人気のウランガラス
実に不思議なガラスがある。普段はごくありふれた色ガラスなのにフト太陽光線をまともに浴びたり、または紫外線を出すブラックライトの光を当てたりすると、たちまち豹変し、色鮮やかな、それでいてなまめかしい、不思議な色で見る人を魅了する。それがウランガラスである。その眩惑の光にあやつられてか、今、ちまたではウランガラスの人気がウナギ昇りなのである。
しかしウランガラスというと、「まあ、こわい。ウランが入っているってことは、放射線が出ているってこと?それなら被曝するのかしら?」なんて考えてしまう人もいるかもしれない。だけど大丈夫、そんな心配はないのである。それなのにウランは今、偏見に満ちみちた中で肩身の狭い思いをしながら存在しているのだ。そしてそのウランが入ったウランガラスもやっぱり、そんな偏見の中で、どこに身をおいていいのやらと、わが身の不憫さを嘆いているのである。
だからウランガラスにスポットを当ててみたのだが、これが実に難しい。物理や科学に対するアレルギーというのは多分日本人の9割以上が持っていそうだが、その物理や科学をちょっとは理解しない限り訳がわからない。ということで、まるでつまみ食い程度の即席知識で、ウランガラスの実態を解明?してみたいと思う。
◆ウランガラスの2つの顔
ウランガラスとは単にガラスの中にウランを入れただけの色ガラスである それなのに、なぜ太陽光線やブラックライトを当てると人が変わったような色になるのかというと、それこそ、このウランの成せる業なのである。ウランガラスが2つの顔を持っているとすれば、そのひとつは普通の色ガラスの顔である、緑や黄色のものか多い そして、もうひとつの顔、つまり太陽光やブラックライトといった紫外線を当てた時に見せるのが、幻惑の蛍光色の怪しい緑色なのである。でも、この蛍光の緑色と、普通の色ガラスの緑や黄色とはまったく違う色である。そこを混同してしまうと訳がわからなくなる。また、普通のガラスの色はこの緑や黄色の他に、赤、青、白、乳白などさまざまな色がある。
でも、どうしてそんなふうに色を識別できるかと考えていると、今度は「おや、物ってどうして見えるんだろう?」という基本的な問題が浮かび上がってくるのである。
◆物が見えるということは
何気なく物を見ている。しかし実は、物が見えるということは、それ自体を直接見ているのではなく、光の波を見ているのである。波というのも曖昧な言い方だが、この波は大気中にある電磁波のことである。この電磁波にはたくさんの種類があって、光やX線、放射線などが含まれる。これらの電磁波は宇宙からも太陽からも無数に降ってくるし、地上で発生したりもする。家の中や暗闇で明?かりをつけるのは、まさに波を作っている行為なのである。物が見えるのも波だし、テレビ局から送られてくる電波も波である。この限りない波、つまり電磁波は基本的にすべて同じ種類の波であると考えていい。(後略)
インタビュー
電力中央研究所名誉研究顧問 苫米地顯さんに聞く
─先生、今日はわざわざお運びくだ
さいまして、ありがとうございます。
工学博士で電力中央研究所名誉研究顧
問なんてすごい方が、フットワークも
軽く「ウランガラスが知りたい」とい
うと、すぐに訪ねてきてくださるなん
て、感激しております。先生は「ウラ
ンガラス」という本をご出版になって
いますが、同時にウランガラスのコレ
クターでもあるんですよね。
苫米地 ええ、最初に出会ったのはユ
ーゴスラビアなんです。でもその時は
そのガラスがウランガラスだとは思わ
ずに買ったんです。ああ、きれいな色
をしているなあ、変わった光り方をす
るなあ。それにしても高いなあ、そん
なふうに思いました。その頃は私も煙草を吸っていましたか
ら、こんな灰皿を使えたらいいなあということで、買い求め
たんです。
─
先生は原子力のお仕事をしていらっしゃるから、ウラン
ガラスに興味をお持ちだと思ったんですが、それは関係して
いないんですか?
苫米地 いや、まったく関係していません。
─え、だって先生はウランの権威じゃないですか?
苫米地 でも、ウランガラスは知らなかったんです。たまた
ま、ほんとに偶然なんです。私か日本で最初に造られた原子
炉を東海村で試運転したのは昭和?30年代?の初めです。それか
ら10年くらいたって、ユーゴスラビアでまったく知らすに買
ったものがウランガラスだったんです。アメリカ人の友人が、
ウランガラスをずいぶん集めているというので、見せてもら
ったことがあるんです。すると、その微妙な光が私が買った
あの灰皿に似ているなあと思ったんです。だから、東海村に
持っていって、調べてみると、問違いなくウランだとわかっ
た訳です。
-おかしな出会いですね。先生がまったく意図しないとこ
ろで求めた物が、先生のお仕事にしっかり結びついていた訳
なんですね。(後略)