国内盤中古でございます。
盤共に状態の良い中古でございますが、後者ジャケット内部に経年劣化、盤に若干の擦り傷そして
帯がございません。
前者はBrian Leeと御存知!Bob Ludwigによるリマスター、後者リマスター前オリジナル版仕様となります。
こちらのリマスターでは”Shot in the Dark”にてギターソロ部が
10秒程
削除されている事で知られます。
更に後の他作リマスターでは作品によっては演奏差し替え等々のリミックス(というか改竄)が為されている事で知られるもの。
何をか言わんや、でございます.....................................
内容は言わずもがな。
ラインナップは中期名手揃い。
Ozzy Osbourne(Vo)、Jake E.Lee(G、ex-Rough Cutt他、後にBadlands、Wicked Alliance、Red Dragon Cartel他)、
故Randy Castillo(Ds、ex-Lita Ford Band、Stone Furyツアーサポート、後にMotley Crue)、
Phil Soussan(G、後にSteve Lukatherセッション他)となります。
ゲストにMike Moran(Key、ex-Spring(!)、Ian Gillan Band、Roger Gloverセッション、後にBrian Mayセッション他)となります。
プロデュースはかのRon Nevison。
(Led Zeppelin/Bad Companyの録音エンジニア。後にプロデューサー独立しU.F.O.、Jefferson Starship、MSG、Suvivor、Heart、
Damn Yankees等手掛ける)
1985年
9~12月
英国ロンドン
”Townhouse Studios”(録音)/
”Air Studios”(録音)、
仏
”Studio Devout”(ミキシング及び追加録音)
での制作となります。
1985年1月16・19日”Rock in Rio”フェスティバル出演にて前作ツアー終了。
Ozzy Osbourneは「ミュージシャン特有の私生活問題」の極度の悪化でかの”Betty Ford Clinic”に入院となります。
そして名手陣Bob Daisley/Tommy Aldridge/Don Aireyが新たな活動を求めてバンドを離脱。
Ozzy Osbourne Bandは名手Jake E.Leeのみを残して崩壊と相成ります。
残された名手Jake E.Leeは単独で創作を開始。
また本人曰く「当時は高価な機材に凝っていた」との事で、自身の機材のグレード・アップと試行を共に行っていく事となります。
その後、Ozzy Osbourneが退院。
名手Jake E.Leeが用意した豊富な基礎楽曲やその出来に満足しつつ、バンド再建と新作制作へ向け行動を開始する事となります。
当時かの「1987」制作が手間取り、暇を持て余していた名手Neil Murrayに助っ人を依頼。ドラムのオーディション選考を開始。
Fred Coury(後にCinderella)、Jimmy Degrasso(後にY&T、Suicidal Tendencies、Alice Cooper他)等々の面々参加の中、
故Randy Castilloが骨折ギプス固定でオーディション選考に現れます。
非常に面白がったOzzy Osbourneは故Randy Castilloに後任を決定と相成ります.............................何かねぇ......................
(されどこれは表向きの理由。
オーディション選考参加者の中で正式な録音制作参加や
ツアーサポート
のキャリアを故Randy Castilloが有していた事が決定に繋がった感)
また作品制作に向け、作詞等の音楽的インプットを欲したOzzy Osbourneは離脱した名手Bob Daisleyに制作参加を依頼。
また故Randy Castilloの復帰を待つ間、オーディション選考参加の名手Jimmy Degrassoに協力を依頼する事となります。
そして前作でセルフ・プロデュースに限界を感じたOzzy Osbourneは故Gary Moore絡みやThin Lizzyの名作”Thunder and Lightning”の
音造りに興味を示し、
新作プロデューサーに故Chris Tsungaridesを起用。
創作及びデモ録音に勤しむ事となります。
楽曲の仕上げ、デモ録音を進める中Jimmy DegrassoがY&T参加の為に離脱。
そしてBob Daisleyは著作権等ビジネス問題で再びマネージメント側と揉め、離脱。
(故に”The Ultimate Sin”の著作権クレジットが消される憂き目に..............何かねぇ....................)
更にはかの”Live Aid”にてオリジナル編成Black Sabbath再結成企画が持ち上がり、制作は中断。
そのBlack Sabbathにて新作制作の企画が模索されるも、「音楽的なマジックが欠けていた」事で頓挫。
Ozzy Osbourneは再び新作基礎創作に勤しむ事となります.......................
オーディション選考参加のFred Couryに
急遽
助っ人を依頼。
更にオーディション選考でPhil Soussanを獲得、創作を進めていく事となります。
基礎創作とデモ録音が終了。
故Randy Castillo復帰前にキーボード奏者不在の中極短期間ツアーが企画され、Ozzy Osbourneが臨む事となります。
されど、これは表向きの話。
裏ではレコード会社が前作のセールス不振を理由に新作プロデューサーの交代を要望してきており、
マネージメント側は協議の為期間を設けた感。
同年かの”Heart”起死回生大ヒット作を手掛け、その後かの”Triumph”の名作”Sport of Kings”を手掛けるもバンドと対立し降板。
配下のエンジニア”Mike Clink”にその制作を委ね、スケジュールに空きがあった
かの名プロデューサー”Ron Nevison”に
摺った揉んだの末、
レコード会社の強い意向にて
決定。
故Chris Tsungaridesは敢え無く途中降板となります...................
その一方、Ozzy Osbourneはキーボード奏者不在ラインナップ・ライヴでの聴衆の
意外で好意的な
反応に驚き、
新作本格制作に向け音楽的な確信を強く得る事となります。
(当時はMetallicaがメジャー契約を果たし、スラッシュメタル台頭の足音やグランジ/オルタナの鼓動が聞こえるという
反八十年代サウンド/音楽性の時代に入りつつある時期。
それをOzzy Osbourneが聴衆の反応から感じていた感)
されどツアーから戻れば、そこにいたのは故Chris Tsungaridesではなく、Ron Nevison。
Randy Castillo復帰/正式参加を挟み、
Ozzy Osbourneは大きな疑問符を頭に抱えながら制作拠点を英国に移行。
本格的制作に乗り出す事となります.............................
(かの”Air Studios”等の制作スケジュールは故Chris Tsungaridesが企画・提案、既に予定を押さえていた感がございます........)
さて今作。
「楽曲は良い、演奏も良い。されど音造りが.......」とはOzzy Osbourne談。
音造りの中にOzzy Osbourneが指向した音楽性とRon Nevison(というかレコード会社)が望んだものの軋轢が窺えるものでございます。
Ozzy Osbourneは「基礎はThe Beatles」というミュージシャン。Ron Nevisonは「メロディは重要」と宣う名プロデューサー。
Ozzy OsbourneとRon Nevisonはメロディ重視では一致していた感(降板無く完成まで制作を行った事から窺える感)。
そもそもRon Nevisonはキーボード多用の典型的な八十年代音楽性や音造りを指向。
されどOzzy Osbourneはキーボードはオーケストレーション/雰囲気造りのみ、
ギター中心で
ハード/へヴィ。
地に着いたリアリティのある
ライヴ感・スケール感有る
音造りを今作にて指向。
(今作同時期にメジャーデビュー作を制作し後に前座を務める事となる
かの”Cliff Burton在籍時Metallica”の大傑作”Master of Puppets”の音造りと方向性が似た感が.........)
レコード会社は前作のセールス不振が有り、ポピュラーで売れる音楽性そして音造りも八十年代特有の洗練された音造りを要望。
Ron Nevisonはプロデューサー。
ミュージシャンとレコード会社の間で折衝を行い、
Ozzy Osbourneの意向を重視しながらもレコード会社の意向も組むという立場。
自身の持ち味とその中で折衷案として導き出されたのが今作の音造りの感。
Ozzy Osbourneの意見が何処まで通っていたのか?何処が却下となったのか?
が窺えるものでもございます。
(八十年代におけるRon Nevison起用はレコード会社主導の起死回生作制作が大概という感。
そもそも録音エンジニアからプロデューサー独立し、即手掛けた作品がかの全盛期U.F.O.大ヒット三作。
その後も”Jefferson Starship”等ヒット作。
売れる作品制作を行うプロデューサーとして音楽業界からレッテル貼りが為された感。
またかの”Survivor”では
大ヒット映画”Rocky Ⅲ”主題歌起用で御馴染み”Eye of the Tiger”大ヒットに比べ、
次
作”Caught in the Game”が相当なセールス不振。
喉を傷め名ヴォーカリストDave Bickler離脱。
名ヴォーカリストJami Jamison(ex-Target、Cobra)加入とは言え、
制作に相当な圧力が掛かった筈の新作”Vital Sign”を大ヒットさせるというもの。
”Heart”では「これは私達なのだろうか?」とメンバーが回顧する程の制作。
大ヒットさせたとは言え、相当な圧力の中での制作が窺えるものでございます.......
もしRon Nevisonが独善的ならば既に決まっていた録音制作企画を破棄。
”Heart”制作
同様のキーボード奏者等ミュージシャン起用含めた
同じL.A.にての録音制作企画を組み直す筈..............................)
Jake E.Leeは正に本領発揮。
前作の制作経験やツアーでの冴えた演奏パフォーマンス。それを上手く持ち込んだ感。
またJake E.Lee特有の
演奏の奇抜さを上手く生かしたもので、
Jake E.Leeの代表的なベストワークという感がございます。
またJake E.Lee特有の
不思議なポピュラー感やメロディアスさが洗練されており、またアカデミック感とは異なるロック音楽特有の奇抜さを重視。
今作にて演奏・音楽性を確立したという感がございます。
また趣味性もミソ。
バラード楽曲”Killer of Giants”ではDobro Guitarを使用。後のBlues指向が窺えるものでもございます。
米国指向とは言われますが、前作でもその指向が窺えるもの。
そもそもJake E.Lee自身がL.A.Metal創成期の当事者である事がミソでございます。
されどOzzy Osbourne独特の重みがあるメロディは健在。
そもそもメロディ重視ではありながらも、ギター中心でハード/ヘヴィ指向の音楽性を指向している事がミソ。
当時のL.A.Metal系の楽曲が聴かれる面がございますが出来は粒揃いで、Ozzy Osbourneと言う音楽性の応用を含めた範疇の感。
結局音造りから来る誤解が批判を呼んだ感がございます............
正直ここがレコード会社が強いたもの。
Ozzy Osbourneが「ヘヴィ/ハードで躍動感とスケール感のある音を!」を望み、
(Ron Nevison共に)様々と抵抗したものの受け入れられず、
今作に対して納得がいかない面があるという感がございます............
Phil Soussan/故Randy Castilloのリズム隊でございますが................
後にJake E.Leeが名手リズム隊Bob Daisley/Tommy Aldridgeを懐かしむという発言がございますが、
Ozzy Osbourne/Jake E.Leeという強い個性を重視し、
リズム隊にはリズム・キープを重視という感。
正直、楽曲と前述二名の個性に対して邪魔にならない様に、という指示がRon Nevisonから出ていた感がございます。
(次作での故Randy Castilloの変貌振りから窺える感.......それでも良心的で個性を加えた演奏ではございますが.........)
但し、故Randy Castilloがツアー参加した”Stone Fury”大傑作1st「Burnin' Like a Star」の有り方と似た感があり、非常に興味深いものがございます。
リリース後は大ヒット。チャートアクションも抜群で前作の不振を振り払う大成功を収める事となります...........................
かのMetallicaを前座に迎えたツアーも大好評。
順風満帆となりますが、Ozzy Osbourneの「ミュージシャン特有の私生活問題」が再び頭を擡げる事となります.............
そして前作の著作権問題から始まるJake E.Leeのマネージメントへの不信感が深まってきており、マネージメント側との確執が表面化。
またマネージャーがOzzy Osbourneの妻という事があり、それにOzzy Osbourneとの確執が加わり、深刻化する事となります...........
大成功を収めるものの、ツアー後Ozzy Osbourne側は一番の貢献者である名手Jake E.Leeを理不尽に解雇。
その後は音楽メディアを通じてのJake E.Lee批判をOzzy Osbourne側が繰り広げる事となります........................
そして一番の貢献者である名手Jake E.Leeは怒りを通り越し、失望と喪失感を強く感じ、一時的に音楽シーンから姿を消す事となります.......
そしてOzzy Osbourneは名手故Randy Rhoads在籍時のライヴ盤「Tribute」制作を挟み、新ギタリスト名手Zakk Wyldeを起用。
今作の大成功で得た創作/制作の自由の上で、
スラッシュメタルやオルタナ/グランジ台頭でのオリジナル編成Black Sabbath再評価を鑑み、
今作で成し得なかったハード/ヘヴィな音楽性を指向する事となります.......................
名手Jake E.Leeの後任であった名手Zakk Wyldeの
後々の
脱退後に、Ozzy Osbourneは再び白羽の矢を立てる事となりますが、
名手Jake E.Leeの不信感は相当なもので、拒否。
多くのファンが望む再共演は不可能という感がございます...........................
Ron Nevisonは
後に
かのDamn Yankeesを手掛けますが、意外にもライヴ感重視でハードな音造り。
その頃はスラッシュ・メタル全盛期にオルタナ/グランジの台頭という時代。
またTed Nugentの存在も理由にあった感がございます。
その音造りで今作が仕上がっていれば........................という感がございます...........................................
(Ron Nevison「こういう音造りも出来ますが............」という感.................)
Ozzy Osbourne曰くは「リミックスしたい」との事でございますが、時期的に今作を含めたカタログの新たな企画が噂される昨今。
再評価と共に期待されるものでもございます........................
この機会に是非。